地図を見て、「金山湖」という名前がわかった。
看板も広告も、無機質なものは見えない。
車を降りて深呼吸。自然のままの景色も一緒に吸い込む。
助手席の娘は、ナビをしながら、もっぱら写真を撮る。
いくら運転が上手とはいえない彼女でも、ここなら問題なさそうだが、私が交代しないのには、わけがある。私が車に酔うのである。自分で運転しているかぎりなんでもないのに、助手席でナビ&写真係を始めたら、途端に頭痛が始まるのは目に見えている。私の三半規管は繊細にできているのだ。
娘もそれがわかっているので、助手席に甘んじてくれている。
ふと、聞いてみた。「この矢印、なんだか知ってる?」
写真中央の下向きの赤白の矢印。
娘は知らないという。
ここまでが道ですよ、と教えてくれる路肩標識。つまり、冬には辺り一面雪が積もっている、というわけだ。想像力をかきたててみる。
富良野市街に入る。
まず、目的地の新富良野プリンスホテルに車を止めた。
〈続く〉
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