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東田直樹さんの高校生になってからの著書を読みました。
『続・自閉症の僕が跳びはねる理由 〜会話のできない高校生がたどる心の軌跡〜』
(株)エスコアール出版部発行
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全体の構成は前作とほぼ同じですが、知性に満ちた言葉づかい、彼自身のプライドや尊厳に触れる言葉……それらを読むだけで、彼の成長を感じ、目頭が熱くなります。
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先日、長男モトがひさしぶりに強烈なパニックを起こしました。
パニックになると、何を言っても通じないし、本人もわけがわからなくなるようです。
大声を上げ、こぶしを振り上げてくる。夫は力ずくで両腕を押さえこもうとする。私はそこに近寄って、「まあまあ、深呼吸してごらん」と胸をさすっていました。
なんとかなだめて落ち着かせると、さっそく買ったばかりの本を開いてみました。モトはモトであって直樹さんではない。わかってはいるけれど、彼の場合はどうなのだろう、と興味がわきます。
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彼はこう言っています。
パニックを起こしても、そばにいてほしい。共感してほしい。パニックを起こす僕の側にいるのはストレスも大きいだろうけれど、つらい顔をしないでほしい。
「僕の母にもそうしてもらっています」と。
そして最後に、こう書いていました。
「パニックを起こしているときには何もわからなくても、どのような対応をされたかは、後でわかります。それが『自尊心』につながると、僕は信じています」
よかった、間違っていなかった、とちょっとホッとしました。
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1時間ほどたつと、すっかりいつものモトになり、私の部屋にやってきて言いました。
「ごめんなさい、ママぁ」
彼の自尊心も、私の自尊心も、傷つかずにすんだかな……。
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