夕方、同僚の先生から梅干しをもらった。
近頃の梅干しは個包装されていて、まるでキャンディのようだ。味のほうも、顔がしわくちゃになるほどではなく、はちみつで甘く仕上げてある。疲労困ぱいのときに口に入れたら、一瞬元気になれるさわやかな味だった。
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包装紙を捨てようとしたとき、「おみくじ」と書いてあるのが目にとまった。内側に、何やら文言が……
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【大吉】思いがけない素敵な出会いがあるかも。
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私は、占いやおみくじの類はまったく信じない。が、オモシロがることにしている。当たっても、当らなくても。
「せいぜい、きょろきょろしながら帰りますね」と、梅干しの先生にお礼を言って別れた。
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帰りに、乗換え駅のいつものパン屋さんに立ち寄り、おいしそうな抹茶デニッシュの試食をパクリとしたとたん、後ろから名前を呼ばれた。
口をもぐもぐしながら振り返ると、友達が笑っていた。えーと、誰だっけ。ほんの一瞬だけ、わからなかった。
「T先生!」
長男が小学校でお世話になった担任の先生だ。
ちょうど2年前に、同じビルのティールームでおしゃべりをして以来の再会だ。
ブログの2013年6月2日「お久しぶりです、T先生!」に、その日のことを書いている。(写真も載せています。ぜひ、お読みになってください)
今日は、白地に花柄のTシャツ、ダンガリーのシャツをはおって、ますます若返って見えた。だから、同年代の友達だと思ってしまったのだ。
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後ろに、若い男性を連れている。障害のある人のようだ。
「息子です」
紹介されるまで気がつかなかった。顔立ちが似ていないせいもあるのだろうが、あまりにもうかつだった。
脳腫瘍の重い手術から生還して障害を背負った息子さんのことは、今までずっとお話に聞いていたのに、息子さんの名前だって覚えていたのに、目の前にたたずんでいる穏やかな雰囲気の青年が、すぐに私の頭の中で結びつかなかったのはなぜだろう。あまりに突然だったからだろうか。
私だって長男を連れて歩いていたら、若いボーイフレンドと間違えられるかも?!
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