10日後に発表になる直木賞候補は、以下の6名。女性は2名だ。
@ 伊東 潤著『天下人の茶』
A 萩原 浩著『海の見える理髪店』
B 門井 慶喜著『家康、江戸を建てる』
C 原田 マハ著『暗幕のゲルニカ』
D 湊 かなえ著『ポイズンドーター・ホーリーマザー』
E 米澤 穂信著『真実の10メートル手前』
私は女性作家にがんばってほしい。
男性作家のものは概して、殺戮、暴力、死を扱ったものが多い。
乱暴な言い方をすれば、お得意の武士道だって、どんなに美化されたとしても、死を肯定しているようなものだ。
もっと、女性作家には女性なりの愛や生をうたう文学があっていい。
私は、原則として、選挙と直木賞には、女性を応援していきたい。
今回の候補に上がった原田マハさんの作品はいまいちだと思えたので、湊かなえ著『ポイズンドーター・ホーリーマザー』を読んでみた。
これは一押し!
本の帯には、
「人の心の裏の裏まで描き出す極上のイヤミス6編!!」とある。
イヤミスとは、イヤな感じの後味が病み付きになるようなミステリーという意味らしい。
でも、ぎりぎりのところで、踏みとどまる嫌悪感、不快感。
どこか突き放したような乾いた筆致。
実際、人間なんて、光を当てる部分によって、悪く見えたり愛しかったりするものだ。そんなリアリティが、正しい殺意とか、いびつな愛とか、残酷な優しさとかにゆがめられて、奇抜なフィクションに昇華しているからこそ、安心して楽しめるのかもしれない。
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