800字のエッセイ:「4人きょうだい」
2019-01-08


 

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4人きょうだい

 

 身内の集まりで、甥や姪たちと、おしゃべりをしていた。男2人に女2人の4人きょうだいで、今では子どももいる30代、40代の4人だ。私も同じ構成の4人きょうだいだったので、話が通じておもしろい。

  子どもの頃、お菓子は何でも母親が4つに分けたという話題になった。

「ひとりで全部食べたいって、いつも思ってたよね」

「そうそう!」

「メロンもスイカも、丸ごと抱えて大きなスプーンでほじくって食べたいと思ったよね」

「そうそう!」

 私も同じ思いだったけれど、おとなになったら忘れていた。しかし、彼らは違った。

「自分で自由になるお金が出来たら、絶対にひとりで食べようと思って……」

「やったの?」

「やった」

「私も」

「ぼくも。かまぼこも丸ごと1本、恵方巻みたいにかじったこともあったよ」 

「あと、ビエネッタも!」と一番下の姪っ子が言うと、

「えー、お前もか!」

「お兄ちゃんも?」

 みんなで大笑い。兄妹そろって、すごい執念だ。ちなみに、ビエネッタとは、森永製菓の四角いケーキのようなアイスクリーム。チョコレートと白いアイスが波のように折りたたまれていて、子どもにはごちそうだった。

「満足できた?」

「うーん、夢は叶った瞬間、色あせるよね」

 誰ともなく、ちょっと切ない大人の顔に戻っている。

 一人っ子がうらやましいと思ったあの頃、そしてそれをみんなで笑い合える今。きょうだいの絆は色あせることがない。



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