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先日、添削講師の勉強会を主催しました。
そのなかで、こんな発言がありました。
「擬音語はかたかなで、擬態語はひらがなで書く。その原則どおりに直したほうがいいのでしょうか」
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音や声をまねてできた言葉、例えばゴロゴロ、ワンワンのような擬音語はかたかなで書き、様子を表す言葉、例えばふらふら、にやにやのような擬態語はひらがなで書く。――日本語の現代表記には、そのような原則が定められています。
でも、これは戦後に定められた「現代かなづかい」の流れのなかで決められてきたルールです。生涯学習としてエッセイを楽しむ方々の中には、戦前の教育を受けたご年配も大勢いて、なじむのは難しいのかもしれませんね。
そこで、上のような添削講師の悩みが起きてくるのでしょう。
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私が添削をさせてもらっている受講者のなかにも70代・80代が多く、さらには90代の方もおいでです。
私なら「ちょっと出かける」と書くところを、「チョット出掛ける」、さらには「一寸出掛ける」と書かれる方もいます。私にはどう転んでも、「一寸」は一寸法師の一寸で、いっすんとしか読めないのですが。
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世代を超えた言葉の問題もあります。
例えば、いよいよこれからステージに立つ。こんなとき、緊張した自分の体の状態をどんなふうに表現しますか。
――手はぶるぶる震えて、足もがくがく、胸はどきどき……。
では、そのステージが終わった安堵感をどんなふうに書きますか。
――ほっとしました。
「どきどき」は、擬態語としてひらがなで書きますか。でも、もとはといえば鼓動の音から生まれた言葉ではないでしょうか。実際に、口から心臓が飛び出しそうなときにはドキドキという心音が聞こえたりしませんか。
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