母が大たい骨を骨折して、人工股関節を入れる手術をしてから、ちょうど2ヵ月がたちました。
入院中は、寝たきり状態のまま、リハビリもおざなり。病院からは、「本人にやる気がないので、元どおりになって自宅に戻れる見通しは立たない。施設を探してください」と宣告されました。
冗談じゃない、このまま寝たきりにはさせられません。母の終の棲家は、わが家の4軒隣の、自分のマンションです。
結局、つてを頼って、姉の地元のリハビリ専門病院に転院することができました。前向きな医療で高い評価を受けている病院です。
ところが、入院そうそう、ひとりで歩けるつもりになったのか、トイレに行こうとして転倒。腰を痛めてますますやる気も失せ、リハビリは遅々として進みません。
病院へは、車を飛ばして2時間。秋川渓谷のそばで、緑の木々に囲まれています。特に夏休みのこの時期は道路も渋滞し、一日がかりになってしまうのですが、スケジュールをやりくりして、週に一度は様子を見に行くことにしています。
でも、毎回、私が顔を見せても、母はにこりともしません。
窓の外の木々を眺めているので、「避暑地みたいね」と言うと、「避暑地だもの」と答える母ですが、表情も乏しく、スタッフの皆さんの声掛けにはあまり応じません。
おとといは、美容師さんにヘアカットをしてもらいました。それでも無言。
母はすっかり骨と皮だけの体になってしまい、もう自宅に戻れないのでは、という不安がよぎります。
入院前までは、弱った足腰でも、杖を突いたり手押し車を押したりして、何とか歩けました。また、負のエネルギーを発しては、そばにいる私を何かと悩ませていたのに……。あの母はどこに消えてしまったんでしょう。
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